3月14、18日の2日間にわたり、東京パワーテクノロジー株式会社様にて、弊社プリンシパル紫牟田、コンサルタント守家による「カイゼン技法基礎研修」を開催いたしました。当日は、同社内の業務改革コンサルタントとして活躍されている若手・中堅6名のカイゼン推進室の皆様にご参加いただきました。
この研修は、「将来に亘り会社の中核となって改善人材育成を担う、カイゼン推進室の若手・中堅社員を対象としたスキルアップ」を目的として開催されたもので、改善の基礎技法であるQC(Quality Control:品質管理)を中心に構成されています。
QCとは:「品質第一の製品を作る」「品質を保つために作業工程を管理・改善する」「品質・納期・コストなどの問題を見つけて解決策を考える」など、Quality Control(品質管理)に関わる活動のこと。
同社では、過去精力的にQC活動に取り組んでいた時期がありましたが、いつの間にかその活動は無くなり、当時QCを学んだ人材も減っていきました。その結果、これから会社を担っていく中堅や若手がQCを知らなかったり、QCの基礎である「7つ道具」も使ったことがなかったりという状態に陥っていました。QCの有効性を知る幹部およびベテラン社員はこれを課題に感じ、BPRを専門とする弊社にご相談をいただいたことで、研修の開催に至りました。
以上の背景から、この研修は2つの要件を中心に構成しました。
① 改善の基礎技法とされるQCを学び、その理解を深めること
② 自社独自の改善システムとQCの違いを学び、活用時のポイントを体得すること
【アジェンダ】
第1章 導入編
1. 本研修の趣旨
2. 研修導入(イントロダクション)
第2章 QC編
1. QCの基本(知識の習得)
2. QC実践演習(手法の体感)
3. 広義のQC(情報の収集)
第3章 新QC編
1. 新QCの基本(知識の習得)
2. 新QC実践演習(手法の体感)
3. QCを取り入れた改善演習(手法の応用)
第4章 終結編
1. 研修成果の確認
2. 研修の考察と課題
この構成の特徴は、自社独自の改善システムの中でQCをどう活かすべきかを思考、体感しながら学べるように、QCと新QCを分けて二部構成としている点、そして、7割の時間を演習にさくことで、実践力を身につけられる点です。
第1章 導入編(研修の趣旨/イントロダクション)
冒頭で“なぜ今QCを学ぶ必要があるのか”について解説しました。
QCを学ぶことで問題を見つける感覚が高まり、対処速度や質が上がります。組織的に改善を進める仕組みを持つことで、競争環境に勝てる強い企業へと成長することができるのです。
イントロダクションでは、「アイデア発想ゲーム」を行いました。チーム対抗戦で、どちらのチームの代表者が折り紙でハート型を多く作れるかを競います。研修中にこのゲームを全3回繰り返しますが、回を重ねるごとにチームでの作戦会議時間が増えていく仕組みです(1回目は作戦会議なし、2回目は5分、3回目は35分まで使える等)。前回からいかに手法を改善して多くの折り紙を折れるか、チームで知恵を絞りながら、QCの特長である「小集団活動」や「QC7つ道具」の有効性を感じられるゲームです。
第2章 QC編(知識の習得/演習/情報収集)
第2章では「5W1Hで見るQC」をテーマに、「誰が(Who)」「いつ(when)」「どこで(where)」といったQCの歴史から振り返りました。
続いて、QCを実施する目的や、目的を達成するためのポイントについて解説しました。この研修のように、しっかりと人材育成をすることがQCの根幹です。
次に、QCストーリーについて学びます。QCストーリーとは、問題解決を手順化したもの、特に小集団で進める場合に有効なステップを可視化したものです。
8つそれぞれのステップで、1日目に紹介する「QC7つ道具」、および2日目に紹介する「新QC7つ道具」を利用することによって、データ解析/情報整理を効率的に品質良く進めることができます。
最後に演習です。最初に行った「アイデア発想ゲーム」を、QC7つ道具を用いて再び実践します。すると、同じテーマのゲームであるにも関わらず、1個当りのハートを折る時間を、両チーム平均で三分の一にまで削減(約90秒/個→30秒/個)できました。
QCには「重点思考」「ばらつき思考」「プロセス思考」という3つの重要な思考法があります。
①重点思考 :限られた資源を影響の大きい部分に使う
②ばらつき思考 :基準と現象(事実)とのギャップを可視化し、平均の罠に騙されない
③プロセス思考 :人のうっかりを問題とするのではなく、仕組みに目を向ける
今回の演習では、これら3つの思考を取り入れた問題解決に取り組んでいただきました。
思考法(考えの巡らせ方)の習得には体感が最も重要で、実際の職場環境でも意識的に使えるようになることを目指してください。
第3章 新QC編(知識の習得/演習)
ここからは二日目です。
一日目ではQCを学んだのに対し、二日目では新QCについて知識の習得、演習を行います。QCと新QCは、問題解決における役割が異なり、お互い「補完関係」にあります。QCは定量的データを、新QCは定性的データを整理することに役立つのです。
問題解決においてデータを定性的に分析するための発想手法には新QCを用います。
はじめに、新QC7つ道具の概要を一つ一つ紐解いて解説し、そのうえで、それぞれの技法に対する演習をおこないました。
まずは、一人で回答を導きだし、隣の人と意見交換を行いますが、そこでのコツは5個でも10個でも切り口を出し、そこから一次要因、二次要因とわけていくこと。そうすることで、頭の中のアイデアを整理することができます。意見交換では、自分一人では考えつかなかったアイデアに「なるほど、そういうことか!」という声も聞こえてきました。
ここで念頭におかなければならないのは、「みんなが納得できる分類をする」ということが目的であり、正解はないということです。「私の中の回答」、「あなたの中の回答」をすりあわせて結論を出すことが重要なのです。
午後の部では、この研修の総仕上げとして、より体系的なノウハウを身につけるため、同社独自の改善システムの中でQCを活用する演習を、約3時間にわたって行いました。
テーマは「事務作業の効率化」。ある事務部門の「パウチ作業」を課題とし、業務改善を行うものです。
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【テーマ】事務部門からの要望
・作業時間を30%短縮したい(定時退社)
・今後も継続的に改善していくために現状作業を可視化しておきたい
上記の要望に対してどのようにカイゼンすれば良いか?何がムダか?
チームごとに分かれ、講師が演じる作業を観測しながら、ストップウォッチで一つ一つの作業時間を計測し、現状作業を可視化します。
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更に、連関図を作成→原因書き出し→親和図でグループ分け→さらに原因を深掘りするというフローを進めます。
どうすれば、ムダな作業を減らせるか?そもそもどの作業にムダがあるのか?一つの作業に何秒かかっているか?ストップウォッチを片手に検証しながら各チーム作戦を練ります。
参加者は大変白熱しており「もう少し時間がほしかった」という声が多く聞こえました。
検討成果の発表時には、他チームの発表を見て全く違う視点での改善策に驚いたり、熱心にメモを取る姿も見受けられ、大変盛り上がった演習となりました。
第4章 終結編(成果の確認/考察と課題)
最後はQCスキルチェックを行い、受講前と比べどれだけ理解度が向上したかチェックします。スキルは4段階あり、更に知識と経験に分けて評価します。例えば、知識では、受講前は、「レベル0:何も知らない」だったものが、二日間の研修を通して平均で「レベル2:何となく理解している」まで向上していました。中には、「レベル3:ほぼ理解している」まで変化した方もいました。
今回の研修を受け、参加者の方々からの実際の声
「QC活動は昔少々経験があったが、解釈の違いが修正できた」
「相関性、見える化(可視化)傾向を分析する引き出し(知識)が増えたことで、各所属へのアドバイスに説得力が出る」
「今までのカイゼン活動では主にQC7つ道具を用いていましたが、これからは新QC7つ道具(親和図法、連関図、マトリックス・データ解析法)等が活用できそうです」
これから改善・改革に取り組む企業、既に取り組んでいる企業など、進捗や現場の温度感は多種多様です。その様な中でも、お客様の要望や状態にあわせて、専門性の高い具体的な業務改革手法をご提供できるのは、プロレド・パートナーズの強みの一つでございます。
今回、東京パワーテクノロジー株式会社様に行った。『カイゼン技法基礎研修』に関して自社でも行ってみたい場合は、下記の問合わせ先よりお問い合わせいただければと思います。
また、「社内改善・改革をちょうど行いたいと思っていた。」「これから行う予定」「改善方法を学びたい」などのお考えがあり、その上で下記のようなお悩みがあれば、貴社にあった改善研修を弊社で行い、貴社の改善目標達成のための一助になればと思います。
<改善・改革手法>
1. 改善・改革手法(QC,IE,TPM,VE等)を体得したい
2. 改善・改革手法を利用した自社にあった具体的な活用方法がわからない
<改善・改革活動全般>
1. 業務効率化について課題を感じており、直ぐに改善・改革に取り組みたい/
研修に参加してみたい(or部下に研修に参加させたい)。
2. 現状での課題はないが、今後のために早くから業務効率化を行い、強固な経営基盤をつくりたい。
もし上記のお悩みに一つでも当てはまるようであれば、まずはお気軽にお問合せいただければと思います。
【お問合わせ先】
担当者名:コンサルティング本部 山田 翔平
TEL:03-6435-6581
サービスページ:AI×BPR LAB