SCM/物流

物流費(物流コスト)の高騰!現状と削減するポイントを解説

荷主事業者の多くは、燃油価格の値上がりや人件費の増加に伴う物流費高騰に悩みを抱えています。物流費の高騰は企業にとって大きな負担となるため、継続的な対策を講じる必要があります。

本コラムでは、物流費高騰の原因や現状、コスト削減のポイントについて解説します。

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なぜ物流費(物流コスト)の高騰・値上げが起こっているのか?

物流費が高騰する原因は複数考えられますが、中でも影響が大きいものは以下の3つです。

  1. 燃油価格の高騰
  2. 輸送需要の増加
  3. 2024年問題の影響

それぞれ解説します。

1. 燃油価格の高騰

新型コロナウイルスの影響により、世界各国でロックダウンや行動制限が実施され、人と物の移動が大幅に減少しました。これにより、原油への需要が低下し、価格も下落しました。OPEC(石油輸出機構)などが供給調整を行うことで、原油価格の急激な下落は抑制されました。その後、経済活動が回復し需要が増加、結果的に供給を上回る状況となり、原油価格は適正な水準に戻りました。

しかしながら、この状況下でウクライナ危機が発生し、産油国であるロシアからの供給に不確実性が生じたため、需要が供給を上回る状態が続き、原油価格が上昇しました。今後、原油価格の高騰は収束する可能性がありますが、長期的な展望を考えると、上昇傾向は変わらず、これを前提に運用する必要があります。

2. 輸送需要の増加

物流業界では2010年代後半から、トラックドライバー不足が課題として浮上し始めました。この状況に更なる拍車をかけたのが、コロナ禍によるEC(ネットショッピング)市場の急速な成長です。

ECサイトで注文される商品は、大部分が小口配送として処理されます。個々の消費者に対して商品を届ける必要があるため、一度の輸送で運べる物量が減少し、物流の効率が低下します。

この段階で、物流への需要が供給を上回ったため、通常ならばトラックドライバー不足による人件費の上昇が発生する可能性があります。しかし、コロナ禍により他の業界から人手が流入し、人件費の上昇は限定的でした。

しかし、アフターコロナの現在、拡大したEC市場は依然として規模を保ちながら、オフラインの市場も再開され、物流への需要が増加しつつあります。このような状況の中で、次に述べる2024年問題の影響も徐々に現れ始めています。

3. 2024年問題の影響

2024年問題は、働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働に960時間の上限が設けられることで生じる問題の総称です。

時間外労働の規制により、以下2点の影響が想定されています。

  1. トラックドライバーの給与水準維持を目的とした基本給の増加
  2. トラックの稼働率低下による物流企業の収支改善を目的とした輸配送単価の上昇

2024年問題の影響は物流業界全体の人件費の上昇へとつながり、輸配送料金の増加だけでなく、物流業界全体のコストを押し上げ始めています。

*2024年問題の詳細は、以下コラムもご参照下さい。

物流費(物流コスト)の削減ポイント

ここからは、物流費の削減に有効な手段を3つ紹介します。

  1. 在庫適正化による在庫コストの削減
  2. 積載率の向上
  3. 政策パッケージのガイドラインを実施

1. 在庫適正化による物流コストの削減

在庫適正化とは、在庫を過不足のない状態に維持する取り組みです。

過剰在庫による廃棄費用や評価損の削減、又は過少在庫による売上の機会損失の削減を主な目的としています。

在庫を適正化するためには、過去の販売実績を商品カテゴリや季節など複数の観点から分析し、将来予測される顧客や商品のトレンドを加味して、需要予測の精度を高める必要があります。

次に、需要予測を基にした計画(販売、在庫、調達/生産)の立案が重要となります。特に、販売計画においては営業との密な連携が必要です。計画を立案し、実際の事業結果との乖離を細かく管理・分析し、精度を高めていきます。このような取組みを継続することにより、在庫量の適正化が図れ、物流が効率化し物流コストの削減につながります

2. 積載率の向上

積載率は、トラックの輸送効率を示す指標の一つです。

積載率を高めることで輸送回数の削減につながり、人的コストや燃料費の節約、トラックの効率的な稼働を実現できます。具体的な取組み例として以下の3点があります。

(1)共同配送

他社との共同配送に取り組むことでも、積載率を改善できます。

共同配送は、複数の物流事業者がトラックやコンテナを共同化することによって、積載効率や運送効率を上げる手段です。

個別対応や時間指定などイレギュラーな配送には不向きですが、事業者間での連携が滞りなく進めば、積載効率が大きく改善されます。

(2)輸送モードの適正化

出荷量や納品先までの距離に応じて、適正な輸送モード(宅配便/路線便/共同配送/チャーター便/JRコンテナなど)を選択することにより、積載率が改善され、コストも最適化されます。

(3)納品条件の緩和

納品先と配送日や時間指定といったリードタイムや輸送ロットなどの条件について緩和に向けた協議を行うことで、上記(1)と(2)の取組みが加速します。

3. 政策パッケージのガイドラインを実施

物流革新に向けた政策パッケージ」とは、物流業界における課題を日本社会全体の課題として定義し、荷主・物流事業者・消費者が協力して取り組むべき対策として取りまとめた公示です。この背景には、2024年問題を背景として発生すると予測されている輸送力の低下があります。

この政策パッケージで公表されたガイドラインを実施することで、物流費の削減が見込めます。

取り組むべき施策は多岐に渡りますが、ここでは例として以下の3点を紹介します。

  • 発着時のトラックの待機時間を把握し、荷役を含めて2時間以内にすること
  • 物流を統括管理する者(役員等)を専任し、販売や調達などの他部門と連携した改善を行うこと
  • 契約料金を運送とその他の付帯作業(待機料金や積込作業料金等)で明確に区別すること

*政策パッケージについての詳細は、以下コラムもご参照下さい。

まとめ

本コラムでは、物流費高騰の原因と現状、コストを削減する3つのポイントについて解説しました。

物流費高騰の背景には、燃油価格の値上がり、EC市場拡大による輸送需要の増加、2024年問題の影響などがあります。物流費の高騰は今後も続くと考えられるため、早急に対策を講じる必要があります。

プロレド・パートナーズでは、現状把握から施策の立案・実行まで一貫したサポートが可能です。物流費の削減に取り組みたいが何から見直せばよいかわからない方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

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