印刷費のコスト削減術

印刷業界の市場規模は1997年をピークに減少傾向となっております。

インターネットや電子書籍をはじめとした電子媒体の普及により、新聞・雑誌・書籍等の出版印刷の生産金額が落ち込んでいることはもちろん、カタログ・冊子・折込チラシ・DM・パンフレット等を中心とした商業印刷についても、広告メディアのデジタル化が進んでいるため、成長領域にあるとは言い難い状況です。

ただし、そのような状況下においても多くの企業が予算を確保しているため、各企業の印刷費に関する支出金額は決して少なくありません。実際、販促にかかわる商業印刷を全てデジタル広告に切り替えている企業はほとんど存在していません。

中には、適正価格以上のコストを支払っているにもかかわらず、販促計画が滞ることを懸念し、既存サプライヤーの切替を躊躇されたり、長年にわたり関係性のあるサプライヤーを起用したまま、印刷費の見直しについて一切手を付けられていない企業も見受けられます。

ここでは印刷費の基本的な構造や概要を説明すると共に、プロレドならではのコスト適正化アプローチ方法をご紹介します。現在の業務のあり方やコスト構造を見直すきっかけとなり、当社が有するコストマネジメントコンサルティングのノウハウや費目の専門家としての知見が、皆様のビジネス伸長の一助となれば幸いです。

1.印刷費目の対象

プロレドが印刷費目として対象とする費用は、社内印刷である複合機とは異なり、製作を外注している印刷物にかぎります。チラシやポスターを例とした「端物印刷物」、複数枚の紙で構成されるパンフレットをはじめとした「ページ物印刷物」、それには該当しないその他印刷会社に制作を外注している「特殊印刷」に分類されます。

印刷費コスト削減

2.印刷物のコスト構造および各工程にかかわるプレイヤー

次に、印刷物制作におけるコスト構造と工程ごとのプレイヤーについてご説明します。印刷物は大きく分けて下記の3つの工程に分類されます。

1.印刷前工程(プリプレス)

「企画」「編集・デザイン」「DTP作成」「文字・色校正」に細分化され、「企画」~「DTP作成」については、デザイン制作に強みのある広告代理店やデザイン会社が担当します。

2.印刷工程(プレス)

「刷版」「用紙手配」「出力」「製本加工」で構成され、大手総合印刷会社や地場の印刷会社が担当します。印刷会社は、前項の「文字・色校正」~「製本加工」までの純粋な印刷工程を担うことが多いですが、企画・デザインも含め、上流から下流まで一気通貫で対応する企業も多く存在します。

3.印刷後工程(フルフィルメント)

完成した印刷物に対する「印刷後作業」を表し、ここでは前項の「製本加工」と合わせて、配送管理を事業とする企業が対応します。以上のことからも分かる通り、印刷物は「企画」~「印刷後作業」までに、非常に多くの工程を踏まえた上で制作されています。

また、各工程ごとに強みをもったプレイヤーが多数存在しており、本来であれば需要者側は各工程の適正単価を踏まえたうえで、プレイヤーと協議を行うことが望ましいです。しかし実際には、そこまで踏み込むことが難しく、プレイヤー側からの見積りがブラックボックスとなっていることも多いのが実情です。自社のリソースのみで、適正水準であるかを判断することは、非常に難易度が高く手間がかかります。

印刷費コスト削減

3.プロレドのコスト削減の特徴

プロレド・パートナーズはコストマネジメントに強みを持ったコンサルティングファームです。ここでは、プロレドならではの印刷費適正化の特徴をご紹介します。

①発注印刷物の見える化

多くの当社クライアントが、自社発注の印刷物管理に課題感をお持ちです。

企業によっては、支部や拠点ごとに印刷物が発注されており、本部にて全印刷物の管理が困難な状況が散見されます。そのような状況の中で、プロレドは総勘定元帳等の経理データを基にした、複数支部ごとの発注印刷物の分析が可能です。また、ブランド/店舗ごとの印刷物仕様の混在等も分析し、発注傾向の見える化を実施します。

②独自のデータベースを活用

プロレドには過去のプロジェクトの知見が蓄積されています。単純な単価データだけでなく、サイズ・ロット・紙質はもちろん、デザイン制作費・版代・印刷代・加工代・配送費 等まで踏み込んだ工程ごとの費用も把握しています。印刷物は作成するにあたり多くの工程を踏むため、自社内で単価水準がブラックボックス化しがちですが、プロレドのデータベースを活用すれば、自社内の印刷物単価が適正かどうか判断可能です。原価推計を踏まえた条件協議を行うことで、業界最安水準までの料金引き下げが期待できます。

③仕様の適正化についてもサポート可能

自社内だけでは、現在の印刷/製紙業界の商況把握は非常に困難です。人手の観点からも、印刷物の仕様検討まで手が回らず、前回発注分と同様仕様にて高単価な印刷物となっている可能性があります。プロレドでは、現在の商況を鑑みた最適仕様のご提案が可能です。現行仕様の発注経緯やクライアント発注計画ヒアリングを経て、サンプルを作成し、仕様適正化後の懸念点を解消の上、用紙、斤量の仕様適正化をご提案いたします。

印刷費コスト削減

プロレドでは、専門的かつ、多面的なアプローチにより、自社だけでは実現できない、一段踏み込んだ価格水準を実現します。

また、自社と印刷事業者の関係性、過去の取組実績や経緯をヒアリングし、協議の進め方、会社選定基準についてもご意向を確認しながら慎重に進めるため、トラブルに発展することなく非常に高い顧客満足度を獲得しております。加えて、印刷費目については、過去のプロジェクトを通して、優良サプライヤー様との関係性も構築しているのでご安心ください。

プロジェクトの進め方と役割分担

下記5つのステップでプロジェクトを進行します。基本的に、必要資料のご提出、基準金額の合意、新契約締結のステップにてご協力いただくのみで、クライアントの負担が最小限となるよう進めていきます。現状把握から契約締結まで、プロレドのコンサルタントが一貫してコストマネジメントに関わる業務を遂行します。

印刷費コスト削減

印刷コスト削減事例

以下では、印刷料金適正化による2つの具体的なコスト削減事例をご紹介します。

[事例①] チラシ発注の見える化と適正用紙への変更

✔背景
印刷コストは、他間接費目と異なり変動要素が大きく、クライアント内では手つかずの状況であった。さらに、各支店が各々の判断でチラシ発注を行っていたため、本部では発注管理も行えておらず、透明化できていなかった。

✔結果
各支部の勘定データを回収後、取引先や仕様、単価等も含めて印刷費目の見える化を実施しました。結果として過剰発注も明確化し、プロジェクト以降の発注減にも寄与する事ができました。また、プロジェクトの過程でプロレドのデータベースと照らし合わせたところ、用紙費用の比重が大きいことが判明しました。同グレードで安価な用紙に切替を実施し、単価の適正化を実現しました。

[事例②] 新規サプライヤー採択とコロナ禍を踏まえた用紙の仕様変更

✔背景
社長交代を機に、クライアント内でのコスト削減気運が高まる。コロナ禍でチラシの発注が減少していく中で、自社内では印刷費コスト削減のアイディアがでず、プロレドへの依頼に至る。

✔結果
デザイン制作を自社で行っていたため、校正以降の工程単価の見直しを実施。既存含め6社比較検討し、新規サプライヤー採用時の懸念点を払拭した上で、削減見込みが最大化できる新規印刷会社を採択しました。加えて、用紙の仕様変更についても提案を実施。チラシの厚みは維持しつつ、汎用性の高い用紙を採択することで、コロナ禍をはじめとするイレギュラーな事象が発生した時にも柔軟に対応できるようにするクライアントニーズを満たすに至りました。

客観的な見地による市場水準との比較分析に基づく適正化は、中長期的な観点で必ず双方のメリットとなり、プロレドにお任せ頂く事で適切な着地点を導き出す事が可能となります。

なぜプロレドなのか

広告メディアのデジタル化に加え、コロナ禍で加速したペーパレス化や印刷需要の減少は、今後の印刷用紙価格に対する不安材料となっています。一方で、SDGsの観点から、世界的な環境意識の高まりにより、リサイクル可能な紙の価値が見直されています。今後も紙がなくなるということは想像しづらく、各企業は改めて印刷費を最適化する取り組みに目を向ける必要があります。

そうした状況下で、プロレドでは豊富な実績、経験を有する専門のコンサルタントが、蓄積されたデータ・ノウハウをもとに、クライアントがおかれている状況を詳細に分析し、クライアントと印刷事業者との中長期的な関係構築の架け橋として取り組みを行います。

単なる相見積もりではなく、クライアントの個別事情や背景を踏まえた協議を徹底する事で、関係性を毀損することなく、自社のお取り組みから一段踏み込んだ価格水準の実現を支援いたします。

印刷費について、外部の専門家やコンサルティング会社をご検討の際は、どうぞ安心してプロレドへご相談ください。

参考)市場動向・業界トレンド

【市場動向】

(株)矢野経済研究所によると、印刷業界の市場規模は、2019年時点で約3兆4,390億円と、直近5年は下降気味ながらもほぼ横ばいでした。しかし、2020年以降は、コロナ感染拡大の影響を受け、市場は一段と縮小していく傾向にあります。特に、商業印刷の分野においては影響が大きく、外出が制限され、イベント自粛等もあったことから広告や販促に使用する印刷需要は今後も大きく減少することが想定されています。

印刷費コスト削減
出所:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2531

用紙の需給は印刷価格に大きな影響を及ぼします。

直近では、2019年に製紙会社大手3社が印刷・情報用紙の価格を10%〜20%引き上げています。これは、原油価格の高騰や、紙の原料となるパルプ材の値上がり、中国の古紙需要増加に起因するものですが、コロナ禍を踏まえ、印刷の需要が落ち込む中、今後も用紙価格は値上げ傾向が想定されます。

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