IT費用のコスト削減術
ITサービスの多くは、初期導入後に契約内容や運用体制が固定化され、ビジネス環境や社内ニーズの変化に応じた見直しが十分に行われていないケースが目立ちます。特にクラウドやSaaSの領域では、アカウント数やリソース量が実態に合わないまま契約が継続され、無駄な支出が常態化していることも少なくありません。
また、システムベンダーは意図的に業務内容や費用構造をブラックボックス化し、切り替えが困難な環境を作り出すことで、高額な費用での契約を継続させているケースも多く存在します。
プロレド・パートナーズでは、利用実態とコストの整合性を多角的に分析し、事業の成長に見合った持続可能なITコストの構築を支援しています。
業界・コスト構造
コスト削減を実現するためには、業界構造やコストの内訳を把握することが大切です。以下では、ITコストの業界とコスト構造について解説していきます。
(1)IT費用の市場動向
日本企業のIT予算は売上高に対し約1.0%(中央値)と言われています。業種別に見ると、金融・保険が約6%と最も高く、建築・土木や卸売業では0.5〜0.9%程度となっています。
海外と比較すると、北米企業のIT予算比率は3.3%、欧州・中東は2.6%であり、日本企業のIT投資は相対的に低い水準にあります。さらに、日本のIT予算のうち34%は外部委託費用となっており、北米の20%程度と比較して内製化が進んでいない点も特徴的です。
その背景には、IT機能の分社化やアウトソーシングの進展により、システム開発・運用を外部ベンダーに依存する構造が長年にわたり形成されてきたことが挙げられます。こうした体制のもとでは、自社内における技術的知見や設計能力の蓄積が限定的となりやすく、結果としてベンダーへの依存度が高まり、ITコストの内訳や委託内容の見直しが進みにくい傾向にあります。
(2)IT費用の分類と特徴
IT関連費用は、「インフラ」「ライセンス」「保守・運用」「ベンダー委託」などに分類され、構成要素が多岐に渡るため、担当部署以外には全容が把握されていないことがよくあります。
また、各項目において契約が複数年単位で継続していることも多く、利用状況の変化に応じた見直しが後回しにされがちです。
■ITコスト費用項目
| 費用項目 | 費用項目 | 内容の例 |
| ライセンス費用 | クラウドインフラ費 | AWS・Azure・GCPなどのIaaS利用料(CPU、メモリ、ストレージ、転送量) |
| ソフトウェアライセンス費 | Microsoft 365、Adobe、Zoom、Salesforce等のSaaS契約 | |
| SES/保守費用 | 保守・運用委託費 | サーバー/ネットワークの監視、障害対応、ヘルプデスク等 |
| SES | 開発・カスタマイズ費 | システム開発・保守カスタマイズ対応 |
| ベンダー管理費用 | 各種契約管理・PMO対応・運用代行等 | |
| HW保守/SW保守 | ハードウェア保守費 | サーバー、ネットワーク機器等の保守契約 |
| ソフトウェア保守費 | パッケージソフト、業務システム等の保守契約 |
よくある非効率な運用例
- 使用されていないアカウントやリソースのライセンス料が継続請求されている
- オンプレミスとクラウドの環境が混在し、非効率な二重投資が発生
- 同一機能を持つ複数のSaaSが部門ごとにバラバラに契約されている
- サポート契約やSLAが業務実態に対して過剰に設定されている
(3)ITコストのコスト構造
ITコストは、費用項目よってコスト構造が大きく異なります。以下、主要な費用項目別のコスト構成要素と特徴を示します。

プロジェクトアプローチ
ITコストは、単なる価格交渉ではなく、「契約内容」「利用実態」「サービスレベル」の全体最適が重要です。プロレド・パートナーズでは、以下のステップで構造的かつ現実的な見直しを支援します。

(1)現状把握・データ分析
契約書・請求明細・利用ログ・SLAなどを集約・分析し、「何にいくら支払っていて、実際にどう使われているか」を定量的に可視化します。
(2)削減アプローチ策定
現状の利用状況を踏まえ、リソースの適正化・契約数の見直し・不要契約の廃止など複数の改善案を設計。コストインパクトと業務影響の両面から比較検討を行います。
■ライセンス等(クラウドインフラ費、ソフトウェアライセンス費、ネットワーク回線費)の削減アプローチ
- 弊社過去実績に基づくデータベースにて、同等のサービス/仕様/ボリュームの事例との比較により削減見込みを試算
- 利用実態の分析からオーバースペックや過剰発注の見直し余地を検証
- 標準価格(定価)があるものに関しては割引率の最大化を目指した協議を推進
■SES(保守・運用委託費、開発・カスタマイズ費、ベンダー管理費用)の削減アプローチ
- データベースの他、多数のシステムベンダーの実勢募集情報と比較し人月単価の妥当性を検証
- 予定工数と実工数の比較分析を行い、適正な要員構成や契約工数を策定
- 上級SEが対応している業務の中で、一般SEが対応できる業務を抽出
■HW保守/SW保守(ハードウェア保守費、ソフトウェア保守費)の削減アプローチ
- 保守実績の精緻な分析により、最適な保守頻度や保守対応時間帯を検討
- 故障/不具合の頻度が低い場合は定期保守契約からスポット保守契約への切替も検討
- 初期費用に対する保守料の割合から保守料の妥当性を検証
(3)適正化協議
単価交渉に依存せず、仕様変更やサービスレベル見直しによってコスト最適化を図ります。妥当性の検証結果を基に既存サプライヤーとの協議を実施するとともに、新規優良サプライヤーからの条件取得まで実施します。ベンダーとは協調的に、持続可能な契約内容の構築を目指します。
(4)新体制策定
新契約への移行計画策定から社内ルール整備・定着支援までを一貫して実施。IT部門だけでなく、利用部門を巻き込んだ運用ルールの再構築もサポートします。削減プランの選定を受け、新条件での契約締結に向けたサポートを実施し、削減結果についてご報告します。
コスト削減事例

参考
IT業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展とクラウドサービスの普及により、大きな転換期を迎えています。近年では、IT人材の人件費が高騰しており、SE単価は上昇傾向にあります。JUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」によると、開発プロジェクトの人月単価は127万円が妥当とされており、特にパッケージ利用開発やSaaS利用開発では144万円と高単価となっています。パッケージやSaaS利用開発では専門的なスキル・ノウハウが必要とされるため、スクラッチ開発(96万円)と比較して高単価となる傾向があります。
一方で、クラウドサービスの普及により、オンプレミス環境からの移行が進み、従来型のハードウェア保守やデータセンター利用の見直しが進んでいます。また、SaaS型サービスの増加により、ライセンス管理の重要性が高まっており、未使用ライセンスの解約や適正なプラン選定による削減余地が拡大しています。
さらに近年では、生成AIをはじめとするAI技術の普及により、ソフトウェア開発や運用業務において「エンジニアの人数削減」「工数削減」が可能であるという議論が急速に広がっています。実際には、AI活用には業務設計・品質管理・セキュリティなど新たな対応も求められる一方で、従来の開発・保守の進め方そのものを見直す契機となっており、ITコスト構造の再設計を後押しする要因となっています。
プロレド・パートナーズでは、こうした業界動向を踏まえ、単なる価格交渉にとどまらない、持続可能なコスト構造の構築を支援しています。ITコストの最適化は、業務効率やサービス品質を維持しながら、確実なコスト削減を実現できる有効な施策です。
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