エレベーター保守点検費用のコスト削減術

エレベーター保守点検費用の現状は、独立系事業者の台頭により、価格の適正化が進んでいます。メーカー系・独立系それぞれの特徴を正しく理解し、見直しを行うことで、大きな削減(最大40%)が可能です。さらにエレベーター保守点検の契約形態も価格に大きく影響してきます。メーカー系・独立系それぞれの特徴と、契約形態のポイントを押さえて、コスト削減を実現しましょう。

「メーカー系」と「独立系」

エレベーター保守点検業者は大きくは「メーカー系」と「独立系」に分かれます。

三菱・日立・東芝・日本オーチス・フジテックが5大メーカーと言われていて、その系列の保守点検業者を「メーカー系」、メーカー系列に属していない点検業者を「独立系」と言います。独立系の大手はエス・イー・シーエレベーターとジャパンエレベーターサービスホールディングスの2社で、メーカーの縛りがなく、どのメーカーのエレベーターでもメンテナンスを行うことができます。

元々、エレベーター保守点検は、メーカー系の保守点検業者しか点検ができなかったため、競争原理が働かず費用が高止まりしていましたが、点検を専門分野とする安価な独立系業者の出現により、価格の適正化が進んでいます。独立系からは、メーカー系よりも30%~40%安い見積もりが提示されることがあります。安すぎて不安に感じるという声もありますが、独立系は決して安売りをしている訳ではなく、あくまで独立系の価格が適正価格という考え方です。

独立系でも大丈夫?

独立系が安いことは知っているけれど、万が一の事故が起きたとき本当に大丈夫なのか心配な方は多いと思います。確かに、独立系に点検を委託する場合に注意しなければならない事もあります。

一例としては、緊急時に連絡をしてから実際に駆けつけていただけるまでの時間が挙げられます。近年独立系の営業所は増えておりますが、一部の地域ではメーカー系よりも網羅しているエリアが劣るため、例えば、メーカー系であれば20分で来ていただけたのが、独立系では50分かかってしまうことも考えられます。業種によっては、その時間差が許容できない可能性もあるので、営業所までの距離はよく確認した方がいいでしょう。不安を感じる方は、営業マンに対して具体的な導入事例を確認するのもひとつの手です。緊急時の影響が大きい病院での実績事例も多く、ホテル、旅館、学校、老人ホーム、市庁舎等でも独立系が多く採用されています。

最近の独立系大手2社の業績は、2社とも右肩上がりで売上を伸ばしており、独立系のシェアは全体の20%程度と、保守管理台数は増え続けています。近年事故なども発生しておらず、独立系の安心感が増し、信頼度も上がり以前よりも抵抗感がなくなっていることの表れではないでしょうか。

独立系とメーカー系の見積金額を比較し、価格協議をしてみはいかがでしょうか。メーカー系でしか対応できない特別仕様等、それぞれのメリットもありますので、それも含めて検討をすることが重要です。エレベーター保守点検費用は、ぜひメーカー系、独立系の見積りを比較し、価格の適正化を試みてください。

エレベーター保守点検の二つの契約形態
「フルメンテナンス契約」と「POG契約」

エレベーター保守点検には、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の二つの契約形態があり、どちらの契約形態を選ぶかによって価格にも大きく影響してきます。

■フルメンテナンス契約とは

エレベーターの定期点検・清掃・給油・調整等に加え、経年劣化した機械部品・電気部品の部品代、修理交換代を含んだ契約です。修理費も月々の保守料に含まれているため、突発的な工事代金などの心配がありません。そのため、予算管理を行いやすいというメリットがありますが、月々の保守料金が割高になる傾向があります。

■POG契約とは

パーツ(P)、オイル(O)、グリース(G)の略で、エレベーターの定期点検・清掃・給油・調整等に加え、一部の消耗品(ランプ・ウエス等)の交換等、保守に必要なもののみ保守料に含むため、月々の保守料金が抑えられるというメリットがあります。但し、その他の部品代・修理代は、その都度別途料金が発生するので注意が必要です。

2つの契約形態を費用面から比較すると、フルメンテナンス契約は保証が手厚い分、点検費用が高いのに対して、POG契約は費用を安く抑えることができます。しかし、年数経過とともに高額の工事の頻度が増えた場合には、フルメンテナンス契約の方が結果的に安く済む場合もあります。

エレベーター保守点検費用削減のポイント

エレベーター保守点検費用を削減するためには、「メーカー系」か「独立系」かという事業者の比較と、「フルメンテナンス契約」か「POG契約」かという契約形態の比較で、自社のエレベーターの状況に合わせた選択を行うことが重要です。

エレベーター保守点検費用コスト削減の対象となりうる企業は、製造業、小売業(スーパー、家具・家電の量販店、アパレルなど)、サービス業(ホテル、旅館、ブライダル、介護施設など)、学校、病院などがあてはまります。

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