電気設備保守点検費用のコスト削減術

電気設備保守点検は、電気事業法によって月次点検や停電した状態での年次点検の実施などが定められた法定点検であるため、見直しに慎重な企業が多いのものです。しかし、電力会社より高圧電力を受電している企業では、定期的に発生する電気設備保守点検費用は大きな負担になっているのが実情です。電気保守点検費用のコスト削減の具体的な手法ををご紹介します。

 電気保守点検費用のコスト削減のポイントは以下4つです。

①点検業者への直接委託による管理手数料の削減
②民間の点検業者の活用によるコスト削減
③点検単価の妥当性検証によるコスト削減
④遠隔監視の導入による点検頻度の削減

それでは、4つの方法を具体的に見ていきましょう。

電気設備保守点検をどのように委託したいるか示す図

1.点検業者への直接委託による管理手数料の削減

電気設備保守点検は、点検業者に直接委託するケースと、管理会社を介して委託するケースが有ります。

大型施設になると電気設備保守点検、消防設備保守点検、エレベーター保守点検等を一括して管理会社に発注するケースが多いかと思います。
もちろん管理会社に依頼することで点検業務の窓口が一本化され、管理工数が軽減されるというメリットがありますが、その分管理手数料が発生します。社内で対応できる体制が築けるのであれば、点検業者への直接委託に変更することで管理手数料の削減が可能です。

2.民間の点検業者の活用によるコスト削減

平成28年4月、低圧電力の自由化が大きな話題となりましたが、先駆けて電気設備保守点検は平成16年1に自由化しています。元々指定された電気保安協会か個人の電気管理技術者しか点検できませんでしたが民間業者が参入するようになりました。
点検業者の属性は大きく以下3つに分けられます。

A一般財団法人が運営する電気保安協会
B個人電気管理技術者
C民間の保守点検業者

民間業者の品質面を懸念している方がいるかもしれません。確かに、自由化当初、民間業者が電気保安協会の半額以下といった金額を提示し、価格競争が進んだ反面、民間業者は停電等の事故が起きた際の対応が遅いといった苦情が発生するようになり、一部の民間業者は淘汰され撤退を余儀なくされました。しかし、着実にノウハウを築き、成長している民間業者もあります。

また、民間業者の中には電気設備点検と省エネサービス(デマンドコントロール等)をセットで提供するなど、付加価値をつけて電気保安協会と差別化しているところもありますので、民間業者の金額やサービスを比較することをおすすめします。

3.点検単価の妥当性検証によるコスト削減

電気設備点検の点検単価は、設備容量(KVA)によって決まります。点検業者に設備容量(KVA)を伝えることで見積を作成いただけますので、ぜひ複数社から見積を取得し、点検単価の妥当性を確認してみてください。

また複数の電気設備の保守点検を委託している場合、点検単価と設備容量(KVA)に比例関係があるかを検証することで、価格の妥当性を検証できます。点検単価と設備容量(KVA)が比例関係にない場合は削減の余地があるといえます。

4.遠隔監視の導入による点検頻度の削減

絶縁監視装置を設置することで24時間遠隔監視が可能となります。点検頻度は原則毎月1回ですが、遠隔監視により隔月に変更することができ、点検費用を抑えることができます。絶縁監視装置費用の負担は点検業者に負担していただけますので、まだ設置していないのであれば相談することをおすすめします。

電気設備保守点検費用は、ご紹介した4つのポイントを実施することで、大幅に削減ができる可能性があります。

電気設備保守点検費用コスト削減の対象となりうる企業は、製造業、小売業(スーパーマーケット、ホームセンター、家具・家電の量販店、カーディーラーなど)、サービス業(ホテル、旅館、ブライダル、レジャー施設、介護施設など)、学校、病院などがあてはまります。

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