電気料金のコスト削減術

16年の電力小売全面自由化以降、多くの小売電気事業者が電気小売市場に参入し、競争環境は活性化しています。この数年間で大きなコスト削減効果を享受している法人需要家は多いのではないでしょうか。

一方、新型コロナウィルス対策に端を発する大幅な需要減に伴う価格下落や、’21年初に発生した市場価格の暴騰に代表される通り、電力販売価格は不安定な状況にあります。その結果、必ずしも適正な調達価格となっていないケースも往々としてあります。

また昨今、環境に対する配慮が大きなトレンドとなっています。SDGs経営やESG投資といった観点でのエネルギーマネジメントが急務となる中、より高度な電力の調達計画や実行が求められているのではないでしょうか。

ここでは電力業界・電気料金の基本的な構造や概要を説明すると共に、プロレドならではのコスト適正化アプローチ方法をご紹介します。

電力業界の事業構造

発電事業

火力/水力/原子力/太陽光などの発電所を運営し、電気を生み出す役割を担う。東京電力(東京電力フュエル&パワー)・関西電力・九州電力等、旧一般電気事業者を筆頭に、ソーラーパネルを1枚のみ保有している会社まで大小含めると、900社以上存在。

(経済産業省、資源エネルギー庁へ発電事業届出を提出している会社(’21年6月時点))

送配電事業

送電・配電線を運営し、発電所にて生み出された電気を消費者(以降需要家)へ届ける。日本の電力安定供給を担っており、その水準は世界最高レベルと言われている。各地域(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄)に1社ずつ存在。

小売事業

需要家の直接的な契約先であり、料金体系構築の役割を担う。東京電力エナジーパートナーや中部電力ミライズ等の旧一般電気事業者以外に、新電力と呼ばれる会社が700社以上存在する。また、小売電気事業者は需要家へ安定的な供給価格を実現するため、様々な電力調達努力を行っている。

調達手段としては主に以下の3つ。
①自社発電…小売電気事業者が保有している発電所からの調達。(この場合、発電事業者としても登録していることが一般的)
②市場調達…JEPXと呼ばれる卸売電力市場からの調達。
③相対契約…発電事業者との相対契約による調達。(一般的に1年単位であり、長期契約としている場合もある)

電気料金のコスト構造

次に、需要家からみた電力料金の構成要素について説明します。下記4つの料金から構成され、1は契約容量(kWやkVA)に、2~4は電気使用量(kWh)に関連して料金が変動します。

基本料金

  1. 従量料金
    電気機器の稼働など使用した電力量に応じて変動する料金体系となっている。一般的に季節や時間帯、曜日などによって単価が異なる。
  2. 燃料費調整額
    原油、LNG、石炭等の国際価格に応じて毎月変動する単価。旧一般電気事業者が設定した単価を、その他の小売電気事業者も適用している事が一般的。電気使用量に掛けて算定される。一方、一定の燃料費調整額を設定する新電力や燃料費調整額をそもそも設けない新電力も存在する。
  3. 再生可能エネルギー発電促進賦課金
    全国一律、毎年5月に確定する単価。固定価格買取制度により、小売電気事業者は再生可能エネルギーの電源から発電された電気を一定の価格で買い取るよう義務付けられている。そして電力の買取に要した費用は、需要家が負担するよう国が定めている。一方、特別な要件を満たせば、賦課金は免除可能。

電気料金の価格競争が進んだ結果、現在では上記に加え割引が付帯されている事が一般的となってきています。割引付帯方法は、1 や2 の単価を安価にすることや、割引率で調整する方法などがあり、小売電気事業者の戦略的な調達がそのまま割引付帯方法、引いては価格競争力に繋がってきています。

一方、数百を超える小売電気事業者の価格競争力を、自社のリソースのみで「網羅的に、市場動向も踏まえ適正水準であるかを判断」することは、非常に難易度が高く手間がかかります。

プロレドのコスト削減の特徴

プロレド・パートナーズはコスト削減に強みを持ったコンサルティングファームです。ここでは、プロレドならではの電気料金適正化の特徴をご紹介します。

➀ 40名規模のエネルギー専門チーム
エネルギー関連分野を専門とするチームには約40名のメンバーが在籍しています。日々の市況調査や分析、小売電気事業者とのコミュニケーションを通じて最適なエネルギーコストの見極めを行い、調達支援を行っています。小売電気事業者とは多くのプロジェクトを通じて戦略的パートナーとしての関係を構築しており、単なるスポットの相見積もりではない、最適提案が可能な体制を整えています。

40名規模のエネルギー専門チーム

② 豊富な顧客層を生かした協議

プロレドは電気料金プロジェクトのみで1,000社を超える実績を持ち、様々な規模、業種、業態の企業を支援しています。

異なる電気の使い方の需要家がプロレドのクライアントであることも大きなポイントです。電気は貯める事が出来ないため、同じ使い方(同じ時間帯に電力使用のピークが重なる)のみではなく、多様な使い方を前提とした需要規模を纏めることにより、小売電気事業者にとって効率的な販売戦略が可能となります。このようにプロレドでは豊富な顧客層を以て送客プラットフォームとしての利点を生かした協議を実施します。

豊富な顧客層を生かした協議

③ プロの視点による最適調達先の意思決定サポート
クライアントによって、小売電気事業者選定にあたり重要視するポイントは異なります。例えば、過去の提案水準の実績や自社電源有無、支払いサイト、CO2排出係数等です。複数の観点が必要となるため、プロレドでは小売電気事業者とのネットワークを通じ、価格水準以外のクライアントの採用要件となりうる情報を把握し、クライアントへ報告します。

また報告資料には、違約金や、使用量増減等の複数シミュレーションも踏まえ中期的なキャッシュフローに対するインパクトも視える化して記載するため、意思決定のための社内稟議資料として活用することも可能です。

クライアントの最適な意思決定をサポート

④ 複数年にわたる条件維持サポート
ご提案した条件、削減成果を複数年に渡り維持サポートします。局所的に安価な小売事業者は一定数存在するものの、そのような提案内容の推奨はいたしません。プロレドでは、専門的かつ、多面的なアプローチにより、自社だけでは実現できない一段踏み込んだ価格水準を実現します。

また、クライアントと小売電気事業者の関係性、過去の取組実績や経緯をヒアリングし、協議の進め方、会社選定基準についてもご意向を確認しながら慎重に進めるため、トラブル等に発展することなく非常に高い顧客満足度を獲得しております。

プロジェクトの進め方と役割分担

下記4つのステップでプロジェクトを進行し、クライアントの負担が最小限となるよう進めていきます。現状把握から契約締結まで、プロレドのコンサルタントが一貫してコスト削減に関わる業務を遂行します。

プロジェクトの進め方と役割分担

電気料金コスト削減事例

事例① 互恵関係がある既存小売電気事業者との適正化協議

✔背景
自社で既にコスト削減を実施し大きな割引を取得済みであったが、取り巻く事業環境の厳しさにより更なる削減の可否検討を含めて受託。また、既存小売事業者とは互恵取引もあるため切替は選択肢にない状況。

✔結果
相見積り等による競争環境が作り出せない状況下、クライアントの過去取組等のヒアリングや当社データベースによる分析結果から得た削減余地を基に協議を実施。結果、最新の市場水準を実現する提案を受領することができました。

客観的な見地による市場水準との比較分析に基づく適正化は、中長期的な観点で必ず双方のメリットとなり、プロレドにお任せ頂く事で適切な着地点を導き出す事が可能となります。

事例② 多数のプロジェクトを並行している送客プラットフォームとしての付加価値

✔背景
クライアントからの、「コスト削減重視のため小売電気事業者の切替を厭わない」意向とともに受託。
当社データベースを活かした協議により複数の好条件を受領するもクライアントの高い目標値には未達の状況が続いていた。

✔結果
並行して進めていた各社電力調達状況のヒアリングにより、当社の他のクライアントも含めた使用規模に適応する大幅な電力調達を見込むとの一報を受領。詳細協議を経て、最終的には目標値の実現が可能な条件提示を受領することができました。

専門コンサルタントチームによる日々の情報収集、分析活動により、纏まった規模の需要に対する好条件の提案取得が可能となります。

上記以外に、コスト削減事例に興味がある場合、下記からクライアントのインタビューを確認できます。実際の法人名とともにご紹介させて頂いており、より詳細なイメージができると思いますので、是非ご参照ください。

なぜプロレドなのか

プロレドでは豊富な実績、経験を有する専門のコンサルタントが、蓄積されたデータ・ノウハウをもとに状況を詳細に分析し、クライアントと小売電気事業者との中長期的な関係構築の架け橋として取組を行います。

単なる相見積もりではなく、クライアントの個別事情や背景を踏まえた協議を徹底する事で、関係性を毀損することなく、自社取組みから更に一段踏み込んだ価格水準の実現を支援します。電気料金について、外部の専門家やコンサルティング会社をご検討の際は、どうぞ安心してプロレドへご相談ください。

参考)市場動向・業界トレンド

市場動向
小売電気事業者の電気調達方法の一つとして、市場(JEPX)からの調達があります。市場価格は日々変化しているため、コスト削減を検討するにあたり常に市場価格をキャッチアップすることは勿論のこと、その変動要因についても注視する必要があります。

電気市場価格推移

価格up要因例

  • 猛暑、厳冬などによる需給逼迫
  • 災害等による発電所修繕費、スポット価格の上昇
  • 原発関連安全対策費用、インフラ更新費用
  • 高度化法に伴う非化石電源比率の上昇
  • 燃料起因(アジア圏需要高騰、地政学リスクetc..)
  • 小売事業者間の競争鈍化

価格down要因例

  • 省エネ機器の普及に伴う需要減少
  • 原発新規稼働(大間、東通)再稼働予定(美浜、高浜)
  • 非化石電源の拡大(太陽光、風力、地熱、バイオマス等)
  • 燃料起因(シェール革命以降の潤沢なLNG供給)
  • AI、IoTによる配電ネットワーク運用の効率化
  • 地域間連系線増強による市場取引拡大、停電コスト低減

業界トレンド

世界的なトレンドは地球温暖化対策としてのCO2排出量の削減です。SDGsに繋がるよう、企業のESG投資(今回の電気という枠組みだと再生エネルギー電気の導入等)実施有無が、喫緊の課題ではないでしょうか。プロレドではこのような課題に対する支援も可能です。

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