配送モードの種類とそれぞれの特徴

配送モードの種類とそれぞれの特徴

今回は一般的な配送モードの種類とそれぞれの特徴についてお話をしたいと思います。適切な配送モードを選択していただく参考として頂ければ幸いです。そもそも「配送モード」という単語自体は日常用語ではないため、「配送モードって何?」と思った方も少なくないと思いますが、配送モードを大枠で分類すると下記のようになります。

  1. 宅配便 :比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便
  2. 路線便 :トラックに複数の出荷人の荷物を載せて運送する輸送方法
  3. チャーター(貸切)便 :目的を満たす為に輸送機関の一部または全てを貸切
  4. その他(共同配送便、鉄道コンテナ等)

以上が代表的な配送モードです。宅配便も路線便ではないかとか、共同配送も宅配?路線?ではないかと色々な議論があると思いますが、本コラムでは用途の違いという観点から区別をしました。
また、輸送ということになると航空便や船便も含まれますが、今回は陸路の代表的な配送モードを中心に話を進めていきます。


目次[非表示]

  1. 1.宅配便:比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便
    1. 1.1.宅配便の料金は、1個口あたりの「3辺の長さ」✕「発着エリア」で決まる
    2. 1.2. 宅配便各社の対応サイズと重量
    3. 1.3.各宅配業者別の時間指定サービス
    4. 1.4.“専用カゴテナー”のヤマト運輸と“直積み”の佐川運輸の違いとは!? 
    5. 1.5.1納品先に少量(1~2個口程度)なら路線便から宅配便へ変更すべき
  2. 2.路線便:トラックに複数の出荷人の荷物を載せて運送する輸送方法
    1. 2.1.路線便は各社ごとに得意⇔不得意エリアあり
    2. 2.2.料金一覧表だけでは、路線便の実際の「高い⇔安い」の判別は不可能? 
    3. 2.3.路線便運賃表(タリフ)のイメージ
    4. 2.4.路線便は法人向けが中心で、宅配便に比べサービスレベルは落ちるが価格はお得
    5. 2.5.1納品先の物量が多く、多少の外装の潰れや汚れが許容されるならば路線便を活用すべし
  3. 3.チャーター便:目的を満たす為に輸送機関の一部または全てを貸切
    1. 3.1.物量が相当量あり、配送物が特殊な場合はチャーター(貸切)便を活用すべし
    2. 3.2.チャーター便では車種や大きさ、特殊仕様において最適な車両が選択可能
    3. 3.3.ドライバー不足は当面解決しない
  4. 4.その他の配送モード(共同配送便、鉄道コンテナ等)
    1. 4.1.「食品」「医薬品」「自動車部品」では共同配送の積極採用が当たり前?
    2. 4.2.鉄道コンテナはCO2削減で再び脚光を浴びつつある
    3. 4.3.アマゾン、ヨドバシ、アスクルなどのメガ荷主は自社配送網の整備へ
  5. 5.まとめ


宅配便:比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便

宅配便は市民生活にもっとも浸透している配送モードです。コンビニエンスストアや郵便局からも荷物を送ることができますし、ドライバーが自宅まで直接引き取りにも来てくれます。主に法人向けの路線便と異なり、個人宅向けの配達も得意としています。一般的に宅配便という配送サービスを提供しているのは、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社です。ちなみに「宅急便」という名称はヤマト運輸の商標ですので、お間違えのないようにご注意ください。


宅配便の料金は、1個口あたりの「3辺の長さ」✕「発着エリア」で決まる

宅配便の料金体系は、1個口(ケース)いくらという料金設定です。例えば、1個あたり800円の運賃が必要な荷物を3個口送ろうとすると、800円✕3個口=2,400円の運賃が必要となります。この運賃は地域別及びサイズ別に設定されています。地域は荷物の発送元から遠くなればなるほど高額となり、サイズも大きくなればなるほど高額になります。また、宅配便は基本的に少数個口の配送を前提とした料金設定となっているため、1個口ないし2個口程度を配送する場合は他の輸送手段よりも割安となることが多いです。

宅配便のサイズは荷物の3辺の長さ(cm)を合計したものになります。例えば60サイズであれば3辺の合計が60cmということですので、正立方体であれば1辺の長さは20cmとなります。基本的にはこのサイズが60サイズから160サイズ(ゆうパックは170サイズ)まで設定されています。ただし、大型サイズの配送ニーズに応えるため、佐川急便はラージサイズの宅配便(260サイズまで)を用意しており、ヤマト運輸も2021年11月より200サイズまでサイズの拡大を実施しました。尚、サイズにはそれぞれ重量の制限も付加されており、例えば60サイズなら2kgまでと設定をされています。


 宅配便各社の対応サイズと重量

「ヤマト運輸の時間指定サービスが一番キメ細かい」は、もはや過去の話

次に時間指定ですが、ヤマト運輸は5つの時間帯で指定をすることができ、佐川急便と日本郵便が7つとなっています。尚、ヤマト運輸の指定時間帯が少ないのは、ドライバーの負荷軽減を図るために12時~14時と20時~21時の時間帯が削除されたためです。確かにドライバーは働き詰めで、いつ食事をとっているのだろうかと気になりますね。

ちなみに午前中は3社とも時間指定をすることができません。午前中のいつ頃に荷物が届くのか分からずにやきもきした経験のある方もいるのではないでしょうか?そもそも、なぜ午前中の時間指定ができないかというと、午前中の時間指定の比率が圧倒的に多いからです。また、配達量は日によって異なるので、細かい時間帯の設定をしてしまうと配達時間を守れない可能性があります。

この時間指定サービスですが、現在のところは無料です。でも、時間指定が守られていないとクレームを言ったことはありませんか?ドライバーは申し訳なさそうに謝罪すると思いますが、時間指定を守ることは義務ではなく、遅延による保証も基本的には存在しません。実はこの部分を誤解している方が非常に多いように思います。「ウチの宅配便は午前10時に到着することが絶対」と堂々と話す物流担当者がまれにいますが、その様な契約やサービスは宅配便の通常契約では存在しません。そもそも配送契約において、納品時間に「絶対」はないのですが、確度をより高めるのであれば、別途追加料金を仕払って別のサービスを利用するか、航空便など別の手段を選択する必要があります。


各宅配業者別の時間指定サービス

「冷凍・冷蔵」「個人向け代引き」などの配送サービスはほとんどが宅配便

更に宅配便が路線会社と大きく異なるサービスは冷蔵、冷凍サービスです。これらのサービスは路線便でも実施している企業はありますが、少数です。コールドチェーンはサービスを提供するためのインフラ投資も必要ですが、維持費もかかります。一方で品質を担保するためにはできるだけリードタイムを短くすることが必要です。先行してサービス開発と投資を実施した宅配便業界は先見の明がありましたし、今では生鮮食品を中心とした日本経済を下支えする重要インフラといっても過言ではないと言えます。

冷凍、冷蔵サービスの他に宅配便の特徴的なサービスは代引きです。主に通販で使用されると思いますが、配送先の購入者が商品の支払いを行い、宅配便業者が決済代行を行うサービスです。決済方法には現金の他、クレジットカードやで電子マネーで行うことができます。販売者は商品と引き換えのため確実に代金回収ができますし、事前の決済を望まない購入者のニーズにもこたえることができます。路線会社でも対応している企業はありますが、この様な個人ユーザーをターゲットとしたサービスは宅配便の得意分野です。

ここまで、宅配便の特徴をお話してきましたが、そもそも宅配便3社に大きな違いはあるのでしょうか?


“専用カゴテナー”のヤマト運輸と“直積み”の佐川運輸の違いとは!? 

企業風土や背景の違いは勿論ありますが、大きく異なるのはその輸送手段です。ヤマト運輸は集荷の段階から最終の配達店まで基本的には専用のカゴテナーを使用して輸送します。積載量は減りますが、破損のリスクを軽減し、ターミナルでの荷扱いがしやすくなります。これは基本的に日本郵便も同様です。一方で佐川急便は直積みで輸送を行います。直積みでの輸送ですので、積載量が多くなりますが、若干破損のリスクは高まります。

この特徴からヤマト運輸と日本郵便には小さいサイズで、破損をなるべく避けたい荷物が集まり、佐川急便にはアパレルの様な外装箱の破損はそれほど問題にならない様な荷物が集まる傾向があります。また、佐川急便は積載率が他の2社より高いため、大型サイズの荷物を運ぶことが可能です。

そしてコストと同じく重要なのがリードタイムです。宅配便は後述する路線便と比較するとリードタイムを短縮できます。日本国内であれば長くとも出荷日+2日以内には到着します(離島や一部の群部を除く)。また、宅配便は土日や祝日も基本的には稼働をしています。これは他の配送モードと異なり、日本全国津々浦々にネットワークが張り巡らされているためです。


1納品先に少量(1~2個口程度)なら路線便から宅配便へ変更すべき

以上の内容から宅配便に向いている荷物は以下の通りです。

  • 1納品先に少量(1~2個口(ケース)程度)を配送する場合
  • 時間指定を細かく指定したい場合
  • 破損リスクを必要最低限に抑えたい
  • できるだけリードタイムを短縮したい
  • 手軽に発送したい
  • 土日や祝祭日も配送をしたい
  • 冷蔵、冷凍品の配送をしたい

一方で注意すべき点もあります。宅配便はトラブル発生時の損害賠償額が決まっています。基本的には1個口あたり30万円が上限ですが、それ以上の金額の商品を送る場合は別途追加の保険料が必要となります。高額品を送る場合は上限を超えた分は保証されませんので、十分ご注意ください。また、危険物や可燃物は配送できない場合があります。この点も注意が必要です。各社のホームページを参照するか、事前に配送会社の担当者への確認が必要です。以上の内容からなぜ宅配便がECで多用されるのか、ご理解をいただけたと思います。尚、宅配便については今後、別コラムで取り上げる予定です。


路線便:トラックに複数の出荷人の荷物を載せて運送する輸送方法

路線便は各社ごとに得意⇔不得意エリアあり

路線便という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、名鉄運輸や福山通運、第一貨物という名前はご存知だと思います。路線便業者は主に企業向けを中心に荷物の積合わせ輸送を行う配送業者のことを指します。

全国規模の企業もありますが、それぞれの企業が得意なエリアを持っている部分が特徴的です。逆に不得意なエリアは中継して地場の配送会社や他の路線便業者へ委託をする場合もあります。例えば、第一貨物は山形を中心とした東北、トナミ運輸は富山を中心とした北陸で強いことは有名です。


料金一覧表だけでは、路線便の実際の「高い⇔安い」の判別は不可能? 

路線便の料金体系は宅配より複雑です。基本的には出発地から到着地までの「距離」と荷物の「重量」で運賃が決定します。この距離は実際の走行距離ではなく、各配送会社によって異なります。これは経由する中継拠点が各社で異なるからです。

過去に筆者の経験であったのは、明らかに運賃が高いので配送会社に問い合わせを行うと、距離が長過ぎることが判明しました。これはこの配送会社の支店が納品先の最寄りになく、遠回りをしてその地域を配送していたことが理由でした。従って、路線便業者と取引を開始する場合は事前にキロ程を入手することをお勧めします。

また、重量ですが、重量も実は2種類存在します。1つは「実重量」、2つ目は「容積換算重量」です。実重量はいうまでもありません。そのままの荷物の重量です。容積換算重量というのは荷物の容積に1㎥=280kgの係数をかけ合わせたものです。

例)1辺30cmの正立方体段ボールの容積換算重量
  0.3m✕0.3m✕0.3m✕280=7.56kg 

路線便の運賃計算ではこの実重量と容積換算重量の大きい方を使用します。実際には積込みの時に都度計算をすることはできないので、契約時に一律でどちらを採用するか決めている場合もあります。大手を中心とした3PL企業等はWMSで正確に計算をして、路線便業者に提供している場合もあります。

しかしながら、なぜこんな面倒なことをするのでしょうか?例えば、荷物のサイズが大きくても重量の軽い商品があるとします。容積が大きいので、トラックには沢山詰めません。これを実重量で運賃を計算すると損をしてしまいます。この様に実重量のみの計算方法で生じる不平等を是正するために設定されているルールです。

この様に物流業界では実重量が大きい場合を「重量勝ち」容積換算重量の方が大きい場合を「容積勝ち」と呼ぶ場合もあります。「こちらの商品は重量勝ちですか?容積勝ちですか?」「容積勝ちです」というような感じで使用します。

以上の様に路線便では距離と重量の定義についても特徴があるのですが、肝心の料金表(タリフ)も各社で異なります。最も多いパターンは国土交通省(旧運輸省)が定めている年度別の基準運賃表に対し、掛け率(例:昭和60年✕80%、平成2年✕120%等)を設定しているものですが、独自の料金表を作成し、国土交通省の認可を受けている配送会社もあります。ただし、それらの路線便業者もその料金表をそのまま使用している訳ではなく、荷主毎の交渉を得て決定をします。


路線便運賃表(タリフ)のイメージ

路線便は1配送あたりの小口数が一定数を超えると宅配便より割安

路線運賃の特徴は、一定の物量を超えて配送した場合、宅配便より割安となります。また、路線便の場合は、1納品先(1送り状ナンバー)に対しての総重量と距離で運賃が決定します。極端な話、1個口であろうと、100個口であろうと総重量と距離が一緒であれば同一料金です。宅配便は個口数✕単価となりますので、大きな差が出ます。

ただし、路線便はあくまでも積合わせ輸送ですので、1回に輸送できる物量には制限があります。基本的には1回の配送で1納品先あたり1~2tまでと制限をかけている路線便業者が一般的です。これを超える場合は独自にチャーター便を手配するか、路線会社に追加料金を支払って、チャーター便を手配してもらうことになります。この点はご注意ください。

また、一部の路線会社については1個口もしくは少数個口については路線運賃ではなく、宅配便と同じく1個口いくらという割安な単価設定をしています。例えば同一納品先に対して複数個口を出荷する場合、1個口を割安な単価、それ以上は路線運賃を適用しています。宅配便への対抗と同一納品先に対して出荷物量の波動がある荷主へのニーズにこたえたものと思われます。

その他の追加料金としては、冬季割増、中継料、航走料、地区割増、保険料などが請求されています。これらはバブル崩壊後、一時期はあまり請求されていませんでしたが、最近では請求されることが多くなりました。駐車禁止等の法規制強化やドライバー人口の減少も背後にあろうかと思いますが、国土交通省自体が適正な運賃収受を後押ししていることも大きいと思います。路線便を使用する際には料金表のみではなく、追加料金がどの程度課金されるのかも事前にシミュレーションしておくことをお勧めします。


路線便は法人向けが中心で、宅配便に比べサービスレベルは落ちるが価格はお得

次にサービス面についてですが、時間指定は各社まちまちですが、基本的に宅配便よりもパターンが少なく、サービスとして全面に押し出していません。路線便の場合は法人向けが大半を占める為、基本的には午前指定が多くなります。細かく時間指定が必要な場合、路線便はあまりお勧めしません。

一方、輸送品質ですが、こちらは宅配便よりは劣ります。そもそも路線便は多種多様な荷物を積み合わせて収益をあげる輸送方法ですので、重量物もあれば、長尺物や異形品もあります。これらを一緒に積み合わせるので、破損防止策を徹底するのは困難です。

以前、路線便業者の社員の方が、「路線は漬物石と医薬品を一緒に運ぶこともあります。一般的な医薬品と同等の輸送品質を求められても厳しいです。」と仰っていました。正にその通りだと思います。その代わり他の配送モードと比較して、リーズナブルな単価設定になっていると理解してください。

宅配便と路線便の違いは他にもあります。例えば、宅配便には確立した冷蔵や冷凍のサービスがありますが、路線便は一部の業者を除いて、非対応もしくは全面に押し出していない場合がほとんどです。冷蔵や冷凍を全国に個口配送しようとすれば、チャーター以外は宅配便か専用業者が運営している共同配送(今後別コラムで取り上げる予定)を利用して輸送する方が無難です。

また、宅配便は1個口毎に追跡ナンバー(送り状ナンバー)が付与されます。一方で路線便は基本的に1納品先に対して1つの追跡ナンバーが付与されます。従って路線便は複数個口の1つを紛失してしまうと個口毎に追跡をしていないため、探すのに時間がかかります。一方で宅配便は同じ納品先に複数個口を出荷しても、その一部が同時に到着しない場合があります(個口割れ)。これは、そもそも同じ荷物(かたまり)として認識していないためです。よって、追跡が必要な荷物を配送する場合、路線便は不向きです。


1納品先の物量が多く、多少の外装の潰れや汚れが許容されるならば路線便を活用すべし

以上から路線便に向いた荷物は以下の通りです。

  • 1納品先に対して納品する量が多い場合(チャーターで運ぶほどの量には及ばない)
  • 法人向けの荷物
  • 外装箱の潰れや中身に影響のない程度の破損は許される荷物
  • 高額品や貴重品ではないもの
  • 時間指定が厳格ではないもの
  • 配送会社が承諾する範囲の大型品や異型品

路線便は法人向けにて、宅配便と合わせて、それぞれのメリットを生かして使用するとコストを抑えることができます。また、エリアごとに強い業者を使い分けることも重要です。


チャーター便:目的を満たす為に輸送機関の一部または全てを貸切

チャーターの定義はあえて確認する必要はないと思いますが、特定の納品先に対して専用の車両を準備することです。物流に明るくない方でもイメージはしやすいと思います。もし、全ての荷物をチャーターで配送することができれば、遅延も破損も心配がいらなくなるかもしれません。しかし、なぜそれをしないのか?それはコストが見合わない場合があるからです。


物量が相当量あり、配送物が特殊な場合はチャーター(貸切)便を活用すべし

一般的にチャーターを使用する場合は以下の通りです。

  • 宅配や路線で運ぶよりも安価に配送できる
  • 物量が多い(纏まっている)
  • そもそもチャーターでしか運べない理由がある

単純明快ですね。コストを度外視してもチャーターを使用する場合というのは、トラブル対応等のイレギュラーな場合が多いかもしれません。一方で動物や美術品などの特殊な荷物については、チャーター便を使用した方が、リスクも低く抑えられますし、総合的にみればコストも抑えられるかもしれません。

チャーター便は宅配や路線と異なり、車両とドライバーさえ用意できれば参入できますので、当然市場としては大きく、競争環境も厳しくなります。平成30年の国土交通省による集計では一般貨物自動車運送事業者は約57,000社あり、そのうち9割が中小企業となっています。

実際にチャーター便は大手でも手配できますし、ローカルな運送会社でも直接手配ができます。大手は自社便以外にも中小企業の運送会社を束ね、傭車として委託しています。当然手数料がかかりますので、直接手配するよりは割高となります。一方で、一度に大量の車両が必要になった場合は大手の方が手配できる可能性が高まりますし、万一、事故が発生した場合も保証できるだけの体力があるというメリットはあります。


チャーター便では車種や大きさ、特殊仕様において最適な車両が選択可能

チャーターの運賃形態も様々ですが、以下のパターンが一般的です。

  • 1運行(台)あたりの単価
  • 距離単価、重量単価、容積(才)単価、個口単価、PL単価、カゴテナー単価

また、チャーターの運賃は車両の種類や車型(サイズ)、仕様によって異なります。

【種類】平ボディ、箱車(バンボディ)、ユニック車(クレーン付き)、トレーラー等
【車型】2t、3t、4t、10t、12t、20t 等
【仕様】高床式、低床式、ウイング付き、ゲート付き、冷凍冷蔵、エアサス付き、ジョルダー付き等

運賃は特殊な車両や特殊な仕様が付帯すればするほど割高となっていきます。皆さんが街で見かける車両はコンビニエンスストアやスーパーの納品に使用されている2t~4tの箱車です。
一方でたまに見かけるユニック車やトレーラーは希少価値が高いので、割高となります。

基本的には荷主の要望に応じた単位で単価設定をしていますが、最近は最低保障を設定したり、変動単価(物量リンク制)を廃止するケースも出ているようです。というのもチャーター便は走行すると比例してコストが発生します。たとえ、積載率が低くても荷物がある限り、最低1台は手配する必要があります。変動単価で料金を授受していると、場合によっては必要な利益どころか経費すら回収できない可能性が出てきます。大手であればまだしも、中小企業にとってはかなりの痛手です。


ドライバー不足は当面解決しない

更に今、物流業界はドライバーが不足しています。理由は高齢化と労働人口の減少です。今後劇的に労働環境が変わり、給与水準が上昇することがなければ、減り続けることは間違いありません。
自動運転の実証実験も行われていますが、完全自動化までは時間がかりそうです。故に当面は運賃の値上がり傾向は進むと思われます。また、今後進んでいく可能性があるのは「荷主と荷物の選別」です。今までは荷主側の方が圧倒的にパワーバランスの強い傾向にありましたが、今後はこれが逆転する可能性すらあります。荷主は配送会社側と良好な関係と適正な運賃契約を結ぶことを考えていく必要があります。

車種別に考えると、今後、運賃上昇の可能性が高いのは特殊車両と大型車(10t以上)です。そもそも大型車や牽引の免許取得者は高齢化が著しく、特に地方では大型車や特殊車両事業の撤退や廃業をする企業も出てきています。今までは割安な地場企業に依頼をしていたが、安定的に車両を確保することができなくなってきたため、大手企業にも依頼をし始めたという話もあります。更には改善基準告示の改正が予定されており、ドライバーの労働時間に制限がかかると、一気に車両不足が加速する可能性があります。荷主側も余裕を持った車両手配や代替輸送の検討、ドライバー作業の緩和(PL積みの推進)等を実施していかないと安定的な輸送を確保できなくなってくると考えられます。

トラック業界の先行き不安はチャーター便のみに限った話ではなく、当然宅配便や路線便にも影響を及ぼしてきます。従って、どの様な場合にチャーター便を使用するかというと現状と違いはありません。ただし、今後は現状より車両を安易に確保することが難しくなり、荷主側の一方的な要望を押しつけることは難しくなります。現状の契約料金が安価であるならば、できるだけその金額を長く維持し、改定する場合でも徐々に実施してもらうようにする必要があります。その為にはお互いが密なコミュニケーションをとり、パートナーとして協力関係を構築することがより重要となっていくでしょう。


その他の配送モード(共同配送便、鉄道コンテナ等)

「食品」「医薬品」「自動車部品」では共同配送の積極採用が当たり前?

その他の配送手段として考えられるのが、業界特化型の共同配送です。加工食品や冷蔵冷凍食品、医薬品、自動車部品等で見られます。同一業界荷主の荷物を集めて、同一納品先に対して配送を行う仕組みです。荷主側も宅配便よりも割安な価格で輸送することができ、納品先も纏めて複数荷主の荷物を荷受けすることができますので、手間を削減する事が出来ます。食品系ではメーカーの物流子会社やメーカー自体が自社の荷物をベースに共同配送を展開するケースが見られます。自動車部品では、メーカーの工場側での納品条件が厳しい為、関連会社や旧来の出入り業者が共同配送を行う事例が見受けられます。医薬品についても医薬専用便と言われる共同配送が行われています。

これらの共同配送は便利で一般的な輸送方法より割安な場合も多いのですが、一度使用するとなかなか抜けることができず、いつの間にか取引先でも既成事実とされてしまいがちです。代替業者も多くはありませんので、値上げも受け入れざるをえない状況に陥りやすいという問題があります。(共同配送については今後別コラムで取り上げる予定です。)


鉄道コンテナはCO2削減で再び脚光を浴びつつある

次に、元来、環境問題対策としても注目されていた鉄道コンテナですが、最近はトラック不足対策として、更なる注目を集めています。鉄道を使用しますので、CO2の排出量が少なく、割安な場合もあるので、適合する場合はメリットがあります。ただし、あまり触れられていませんが、デメリットが多いのも事実です。例えば

  • 鉄道はJR貨物が担当するが、ドレージは結局、別会社(日本通運、ヤマト運輸等)に依頼をする必要がある
  • JR貨物と直接契約するわけではないので、窓口企業の手数料がかかる
  • リードタイムが伸びる
  • 冷蔵や冷凍はコンテナの数に制限がある
  • ターミナルから遠いと運賃が高額となる
  • 天災や災害に弱い

簡単にいうと色々と使い勝手が悪いという表現が妥当だと思います。しかし、上手く条件に適合した場合はメリットを享受できますので、一度検討はしていただいても良いかと思います。


アマゾン、ヨドバシ、アスクルなどのメガ荷主は自社配送網の整備へ

最後に別の配送手段という訳ではありませんが、EC配送を中心とした新たな配送会社が出現しています。宅配便大手3社の値上げにより、Amazon、ヨドバシカメラ、アスクルなどが独自の配送網を構築しています。突然、宅配便大手3社のような物流インフラを用意することはできないので、首都圏などエリアを限定し、軽貨物輸送業者や個人事業主と契約をすることで自前の配送網を広げています。これにより、宅配便大手3社の様々な影響を緩和することができます。また、自社の荷物をベースカーゴとして他荷主の荷物を共同配送するというビジネスも展開しています。アスクルで商品を購入した記憶がないのにアスクルのドライバーが配送に来るのはそのためです。

今後もECの物量は増加傾向ですので、軽貨物輸送業者や個人事業主は増加すると思われます。ただし、ドライバーの給与や労働環境が他業種と比較して優れているという訳では無いため、結局ドライバーの取り合いになることは予想されます。また、運送業は想像以上に厳しい各法令関係の対応やコスト管理など手間と工数がかかります。最近もEC関連事業者が独自で構築した配送サービスをとりやめ、大手3社の一つと提携に踏み切った事例がありましたが、これも理由の一つでもあろうかと思います。あなたの身近な運送会社の経営者がいかに凄いのかをご理解頂けると思います。


まとめ

冒頭でも述べた通り、配送費の削減は物流コスト全体に対して大きな影響を及ぼします。一方でリードタイムや破損等、輸送品質を維持することは商流上も重要な課題です。コスト低減を行いながら、品質を維持するためには、それぞれの輸送手段や配送会社の特性や強み、単価を把握した上で、適切な輸送モードを選択する必要があります。

当社では、まず貴社配送コストの現状分析と相場との比較を行い、ベストな配送モードの選択をご支援が可能です。是非ご検討ください。


*本コラム内の用語
カゴテナー=コンビニエンスストアやスーパーの配送などに使用されるカゴ型の搬送機器、カゴ台車、ロールボックスパレットとも呼ばれる
ターミナル=各支店、営業店の荷物を集積し、方面別に仕分けを行う拠点
キロ程=各配送会社が決めている出発地から到着地までの距離数
送り状ナンバー=宅配便や路線便で使用する送り状に付与されるユニーク(唯一)の番号、荷物検索をする際に使用することから追跡ナンバーということもある
冬季割増=冬季に北海道、東北、北陸、上信越等で適用される割増料金
中継料=路線便などで別の配送会社に荷物を引き渡す(中継する)際に発生する費用
航送料=離島や本州から北海道、四国、九州に配送する際に発生する費用
地区割増=政令指定都市や県庁所在地など大都市に配送する際に発生する費用
高床、低床=トラックの荷台の高低、用途に応じて使い分ける
ウイング=トラックの荷台形状のこと、箱型の荷室を開閉することができる
ゲート=トラックの後部に装着する自動昇降機、フォークリフトやクレーンがない場所の上げ下ろしや、車輪のついた荷役機器を使用する際に使用する
エアサス=エアサスペンションの略、高圧の空気を充填したゴム製クッションで路面からの衝撃などを吸収するサスペンションのこと
ジョルダー=トラック荷台の床に取り付けるパレット移動の為の補助器具
改善基準告示の改正=自動車運転者の長時間労働による過労死防止の観点から労働時間の短縮等、労働条件の規制を行うもの、現時点では2022年12月までに改正、2024年4月に施行予定
ドレージ=コンテナを港及び貨物駅と物流拠点の間を輸送すること



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