環境

太陽光発電の仕組みを簡単に解説

太陽光発電は、火力発電のように化石燃料を燃焼させてCO2を排出することなく、太陽電池を利用して自然界に豊富に存在する太陽光のエネルギーから電気を生み出す仕組みを用いた環境に優しい再生可能エネルギーです。

この記事では、太陽光発電の仕組みと導入にあたって必要な機器のご紹介や、企業が太陽光発電を導入するときに注意するポイントなどを簡単に解説します。

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、太陽光エネルギーを太陽電池により直接電気に変換する発電方法です。

まずは、太陽電池の仕組みについて解説します。

太陽電池とは、半導体を利用して、太陽光のエネルギーを直接的に電力に変えるものです。太陽電池の半導体にはn型半導体とp型半導体の2種類があり、太陽電池はこのn型とp型の半導体を積み重ねた構造をしています。(図1)

n型の半導体は活発で動きやすい電子が多く、逆にp型の半導体は電子が少なく電子が足りない場所(正孔)を持っています。この2つの半導体を重ねると、n型半導体からp型半導体へと電子が移動して、正孔に流れ込む力が働く仕組みになります。

しかし、接合部分には電界(内部電界)が生じ、n型半導体から移動しようとする電子の流れを妨げるように働き、n型からp型へ電子が流れようとする力と釣り合った所で安定します。

(図2)

接合部分の半導体に光が当たると、光のエネルギーによって正孔から電子が叩き出されます。

内部電界に導かれて、電子はn型半導体へ、正孔はp型半導体へと移動します。その結果、電子を外部へ押し出す力(起電力)が生まれます。この起電力は光が当たっている限り継続し、電流となって流れ続ける仕組みです。(図3)

参照:独立行政法人産業技術総合研究所HP 太陽光発電とは

この太陽電池の最小単位を「セル」と言い、太陽光発電はこの太陽電池セルを多く並べて大きな電流をつくり出す仕組みです。

太陽光発電に必要な機器

太陽光パネルだけでは、発電した電力を利用することはできません。ここでは、太陽光発電設備を構成するために必要な機器と仕組みについて解説します。

①太陽光パネル

太陽光パネルは、太陽光のエネルギーを電力に変える太陽電池「セル」を強化ガラスで覆ったものです。このパネル1枚の単位を太陽電池「モジュール」と言います。メーカーおよび品番により、発電出力や変換効率などの製品仕様と特徴が違いますので、選定にあたっては十分吟味しましょう。

太陽電池モジュールを直列に組み合わせた単位を「ストリング」、ストリングを並列に並べたパネル群全体を「アレイ」と呼びます。まとめると、「セル→モジュール→ストリング→アレイ」の順に単位が大きくなります。

②パワーコンディショナー

パワーコンディショナーは直流電流を交流電流に変換する仕組みを内蔵する装置です。太陽光パネルで発電された電気は直流電力になりますので、そのままでは施設内で使用する電力には使用できず、送電線にも流せません。そのため、パワーコンディショナーは太陽光発電システムの構成に必須のものです。

大型の太陽光発電設備の場合は、キュービクル内のブレーカーに接続するためのトランス(変圧器)も別途必要になります。

③設置架台

太陽光パネルは、アルミなどの金属でつくられた架台に固定して設置します。太陽光パネルを屋根に設置する場合は、屋根の形状や仕様(瓦やスレート、金属折板、陸屋根など)によって、各メーカーからさまざまな種類の設置架台のラインナップが用意されています。

空地に設置する、いわゆる「野立て」太陽光パネルは、設置架台をコンクリートや杭による基礎で地面に定着させる必要があります。

④配線等その他の設備

太陽光発電システムを構成するためには、太陽光パネルで発電された電力を集めてパワーコンディショナーに送り込む集電ユニットや、分電盤やキュービクル・売電用の電力メーターに接続するための電気配線などの資材も必要となります。

発電量や設備異常を検知するモニタリングの仕組みを実装するためには、電流計測用の変流器(CT)や日射量計、監視カメラ等も必要です。

地絡事故を防止するためのOVGR(地絡過電圧継電器)、自家消費利用の場合に系統電力への逆潮流を防ぐRPR(逆電力継電器)も太陽光発電設備に必須のもので、言葉として覚えておいて損は無いでしょう。

太陽光発電に向いている企業とは

太陽光発電を導入する目的としては、大きく分けて「売電」と「自家消費」の二つに分けられます。

①売電

国の固定価格買取制度(FIT制度)に登録し、太陽光パネルで発電した電力を送電線に流し、電力会社に売電する仕組みです。

太陽光パネルの出力10kW未満は「住宅用」、10kW以上は「事業用」と分類され、住宅用は10年間、事業用は20年間定額単価での買取りが保証されます。固定価格買取期間の終了後は、自社での自家消費に回すか、電力会社と交渉し任意の契約で売電を継続する方法があります。

FIT制度を利用した買取り固定価格は年々下落していますが、太陽光発電の普及に伴い設備投資コストも下がっています。売電による投資収益を検討する場合は、投資コストと設備の維持管理コストを把握したうえで、慎重に投資回収をシミュレーションする必要があるでしょう。以上のことから売電をするために太陽光発電を行うことが向いている企業の特徴は以下の様に言えます。

〈売電に向いている企業〉

  • 多くの太陽光パネルを設置可能な屋根や遊休地を所有している
  • 自社の事業で発電量を全量使いきるほどの消費電力がない
  • 発電事業として投資できる資金が用意できる

②自家消費

自家消費型の太陽光発電では、発電した電力を自社の建物の照明や空調、生産機械を動かすための電力に使用する仕組みになります。

自社で太陽光発電設備を保有する場合は、発電した分は電力会社から電気を購入する必要が無くなるため、運用経費としては削減できます。

また、夏期の電力デマンド値(最大需要電力)を押し下げる効果があるため、電力契約の基本料金が下がる効果も見込めます。

発電した電力はCO2を排出しない再生可能エネルギーとして扱われるため、環境経営を推進しCDPやSBT、RE100などに取り組んでいる企業にとっては脱炭素化推進を進めるうえで、有用な手法となります。

以上のことから自家消費をするために太陽光発電を行うことが向いている企業の特徴は以下の様に言えます。

〈自家消費に向いている企業〉

  • 自社の事業で大量の電力を必要とする
  • 電力会社から購入する電気料を下げたい
  • 経営の環境指標を改善するためにCO2排出量を削減したい

まとめ

ここまで、太陽光発電の仕組みと設備の構成などについて解説してきました。この記事をご参照いただき、太陽光発電設備の導入をご検討してみてはいかがでしょうか。別記事では太陽光発電のメリット・デメリットなど、さらに詳細な解説をしていますのでぜひご参照ください。

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