コストマネジメント

病院におけるコスト削減の重要性とは?詳しく解説

新型コロナウィルスで大打撃を受けた医療現場では、2023年度時点で経常利益が赤字の病院が60%以上を占めるとされており(※1)、本格的なコスト削減施策に取り組むべき最後の機会といえる状況に差し掛かっています。この記事では、病院におけるコスト削減の概要とメリット・注意点について、詳しく解説していきます。

※1 『2023年度病院経営定期調査 概要版-最終報告(集計結果)-』に基づき、コロナ関連の補助金を除いた経常利益が赤字となっている病院の割合。「一般社団法人会 日本病院会」「公益社団法人 全日本病院協会」「一般社団法人 日本医療法人協会」調べ。

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病院におけるコスト要因

医療現場でのコストが増えている要因は以下の3つに分類することができます。
 ① 新型コロナウィルス
 ② 人材不足・離職率上昇
 ③ 物価高
それぞれについて、詳しく解説していきます。

① 新型コロナウィルスによる影響

新型コロナウィルスにより一見収入増加が見込まれる医療現場ですが、実際には閉院や受け入れ停止の判断を余儀なくされた病院もたくさんありました。特に重症者の受け入れには相応の設備が必要であり、受け入れを選択した病院も設備・備品を揃えるために経費がかかっています。
冒頭で引用した『2023年度病院経営定期調査 概要版-最終報告(集計結果)-』でも、以下のような結果が報告されています。

■赤字病院の割合

2021年度 2022年度
医業利益(※3)
赤字病院の割合
65.8%72.8%
経常利益(※4)
赤字病院の割合
51.4%(※1)60.1%(※1)


■赤字額(稼働100床あたりの平均)

2021年度2022年度
医業利益▲16,670万円▲19,966万円
経常利益▲4,242万円(※2)▲7,342万円(※2)


■「経常利益」と「コロナ関連補助金を除いた経常利益」の黒字病院の割合

2020年度2021年度2022年度
経常利益70.3%83.8%82.0%
補助金を除いた経常利益28.8%42.3%28.8%
経常利益だけだと黒字病院が多く見えますが、実際はコロナ関連補助金に頼っていることが分かります。

※1 コロナ関連の補助金を除いた経常利益が赤字となっている病院の割合を示したもの
※2 コロナ関連の補助金を除いた経常利益額を示したもの
※3 医業利益:医業収益から医業費用を引いたもの
※4 経常利益:医業外収益から医業外費用を引いたもの

出典:「一般社団法人会 日本病院会」「公益社団法人 全日本病院協会」「一般社団法人 日本医療法人協会」による『2023年度病院経営定期調査 概要版-最終報告(集計結果)-』

② 人材不足・離職率上昇によるもの

隣接する介護業界と同様に、ここ数年で医師や看護師は深刻な人手不足に陥っています。医療現場は人命を預かる緊迫した職務であり、常に生命に対しての責任を負う職種です。その一方で、以前から労働時間や給与をはじめとした待遇面の改善が叫ばれており、責任と待遇のアンバランスさが指摘され続けてきました。
このような状況下では「なかなか人が集まらない」「採用してもすぐに離職してしまう」といった事案が後を絶ちません。
病院は、採用のために求人サイトへ広告掲載費を支払ったり、採用後に貸与品・備品を揃えたりする必要がありますが、すぐに離職してしまった場合にはこういった経費が無駄になってしまいます。

③ 物価高によるもの

今や世界的な物価高に見舞われるなか、医療現場でも「材料費」「光熱費」「通信費」といった変動費が予算を圧迫しています。「間接経費」とも呼ばれるこれらの費用は、院内全体で使用されている機器に対してかかっており、特定の課だけで削減を目指すことは困難です。そのため、物価高によるコスト増を理解しながらも、間接経費の削減に手を付けられていない病院がいまだ多く存在します。

病院がコスト削減に取り組むメリット

病院におけるコスト削減も、一般企業と同じく「経費の内訳を正確に把握すること」が肝要です。ここからは病院がコスト削減に取り組むメリットをご説明します。

① プランの見直しで短期的に削減効果を見込める場合がある

前段落でご紹介した「材料費」「光熱費」「通信費」といった「間接経費」は、経費全体の10~20%を占めると言われており、病院全体で取り組むことで、合計数百万~数千万円のコスト削減を達成できる場合もあります。
病院全体にかかる経費はなかなか全容の把握が難しいと感じてしまうかもしれませんが、特に「光熱費」や「通信費」は、相見積もりや格安プランの情報を集めやすく、短期的に削減効果が見込める費目です。
まずは契約書や支払明細、領収書などの書類を集め、現在どんなプランに加入しているのか見直すところから始めてみましょう。

② 経常利益率を改善し、別の分野に新規投資することもできる

たとえば売上高に占める経常利益率は【経常利益÷売上高】でもとめることができます。この際、経常利益を損なう要因である経費=コストを削減することで、経常利益率の改善が見込めます。

また、例えば削減できた金額分を研究費や備品費などに回すことで、さらなるサービスの向上につなげることも可能です。経常利益率改善は単なるコスト削減効果のみならず、病院の未来に対する投資の一面も持っているのです。

現在、特に地方社会では、地域のニーズに沿った医療サービスが強く求められています。こういった要望にこれからも応え続けていくためにも、経常利益率改善は大きな足掛かりとなります。

病院がコスト削減に取り組む際の注意点

ここまで幾度か触れてきたとおり、医療現場は現在深刻な人手不足に見舞われています。このような状況下で人件費の整理を最初に検討してしまうと、現場のモチベーション低下だけでなく、サービス品質の低下にまでつながる可能性があります。
そのため、まずは「光熱費」や「通信費」のように、モチベーションやサービス品質に影響を及ぼさない費目からコスト削減に取り組むことをおすすめします。

まとめ

この記事では病院におけるコスト削減の概要とメリット・注意点について解説しました。「日々多忙を極める業務の合間に、新しくコスト削減について検討する時間を持つことは現実的に難しいのではないか?」とお悩みの医療従事者の方も多くいらっしゃることと思います。
時間・人手が足りない、自分たちだけで取り組みにくい費目についてもコスト削減を検討したい、とお考えの場合はコンサルタント導入を検討してみることもおすすめです。

プロレド・パートナーズでは50費目以上に専門のコンサルタントを配置し、様々な業界・業種の企業様のご相談にお応えしてきました。コスト削減をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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